介護現場で役立つ知識は、身体介護や認知症などに関する知識だけだと思っている人もいますが、そのようなことはありません。介護現場では、日常における様々な知識を役立てることが可能です。その知識の1つが色彩に関する知識です。
色彩は人の心に大きな影響を与えることがあります。色彩の知識とは、色が持つ心理的な作用を熟知することをいい、生活に色彩を上手く取り入れることで、人の気持ちを落ち着かせたり、集中力を高めたりするときに効果を発揮します。たとえば、赤は気分を高揚させる効果があるので、気持ちが沈んだときに赤い服を身につけると、気持ちがポジティブになると言われています。また、青は興奮を沈める効果があり、黄色ならば気持ちが和み、リラックスすることができるそうです。そのため、暮らしの中でこれらの色彩の知識を用いれば、気分を上手くコントロールしやすくなります。
ちなみに、この色彩の知識は介護現場でも大いに役立っています。介護現場の高齢者の多くは、視力と認知機能が落ちています。遠くからでは文字をはっきりと見たり認識することが難しいため、部屋の様々な場所にある注意すべき部分に色を用いて注意喚起すると、文字で表記するよりも効果があるようです。また、介護現場においては、施設利用者である高齢者が健康的に過ごすために、ストレスを溜めさせないことが重視されています。ですから、利用者が快適に過ごすことができるように、黄色や緑色を部屋の各所に配置して、リラックスできる空間を心がけている施設もあります。このような色彩の効果については、各種メディアでも注目されているので、介護職がプラスアルファのスキルを身につけるときには、色彩学を習得すると、より一層幅広い活躍ができるようになるかもしれません。